新興住宅地に建つ、平屋建ての住まい。南面が道路に面する陽当たりのいい場所で、周辺環境はことのほか静か。ご主人の実家にも近く、勤務先にも車で10分程度と理想的な立地です。
それまで実家暮らしだったご主人はゆくゆくは家庭を持つことを視野に入れつつ、自らが理想とする住まいを建てることにしました。
その理想とは小屋と住宅の中間ともいえる「非日常空間」です。天井や壁は仕上げをせず、下地材が剥き出しのまま。素材感たっぷりの住空間は、荒削りな小屋のイメージそのものです。DIY好きのご主人は自らの手でカスタマイズするのを楽しみにしているとか。
そんなN様邸の室内を見回すと、部屋と部屋を間仕切る扉がありません。その理由についてご主人はこう話します。
建坪は約28坪とコンパクトな設計です。そのため各部屋を間仕切る扉をあえて設置せず、開放感を優先しました。将来、家族が増えて扉が必要になれば後からでも追加できます。暮らしに合わせてフレキシブルに対応できる合理的な住空間を望みました」
住まいを考えるとき、とかく「居室は広く、天井は高く」に重きを置きがちですが、ご主人の住まいづくりのスタンスは、身の丈に合ったコンパクトさでした。
「玄関は2枚の棚を付けただけでシューズクロークは設置しませんでした。靴は数足あれば十分だからです。将来的に必要になれば後からでも設置できるので問題ありません。お陰でとても広々とした玄関になりました」
こうした考え方は空間の有効利用のほか、建築費のコストダウンにもつながるなど的を射ています。
そんなご主人の最大のこだわりは、LDKと隣り合うインナーガレージです。愛車はミニクーパーのスポーツタイプ。およそ12帖のガレージはまさに大人の秘密基地といった趣で、リビングから愛車を眺める際のライティング(間接照明)のほか、電動の木製ガレージドアを設置しました。ワンランク上の天然木製にしたのは、小屋のイメージを再現したかったから。ご主人のこだわりが凝縮しています。「これから時間をかけて少しずつ、居心地のいい家にしていきたいと思っています」。
ガレージのある平屋建ての住まいは、DIY好き、車好きの面目躍如といえそうです。