マイホーム計画中の夫婦喧嘩の中でも圧倒的な原因になったのが「住宅ローン」です。
多額の融資を受ける住宅ローンに関する考え方は、その人のお金に関する考え方、ひいては生き方にまでつながるので、どちらもなかなか譲れない問題です。
「せっかくのマイホームだから、後悔したくないという思いが強い私。住宅ローンの借入額は少ないにこしたことはないけれど、借りられないのならいざ知らず、借りられるのなら、借りたほうがいいとの考えでした。とはいえ、返済のことも考えて、上限は現在の家賃の範囲ぐらいといったラインはちゃんと持っていたつもりです。ところが夫は心配性で、とにかく減らせの一点張り。住宅ローンの話をしていたはずが、そのうち『君はお金に関する感覚がルーズだ。もっと堅実なお金の使い方をしてもらわないと困る。そういえば、車を買う時も、君のせいで、予算オーバーになったじゃないか…』と、ふだんの生活費の使い方がなっていないといった話になってきて、怒りがこみあげてきました。そんな風に私のことを思っていたなんて許せません」とはAさん。
あまりにも腹が立ったので、この話し合いから数日、口もきかなかったそうです。こんなに経済感覚が違うのなら、この先、本当に一緒に暮らせるのかとまで一時は思い詰めたそうです。
「夫婦喧嘩がついエスカレートしてしまうのは、きっかけになった問題だけでなく、そういえば~と、他の問題にまで波及して相手を非難してしまうから。夫の場合が、まさにそうでした。ただ住宅ローンの問題は生活の基本であるお金の問題なので、このままうやむやにもできないという思いがあり、けっこう深刻でした」とのこと。結局Aさんは、相談窓口の担当者や専門家に間に入ってもらうことで、なんとか折り合いをつけたそうです。
借入額問題とも関連するのですが、意外と多いのが住宅ローンの頭金問題です。憧れのマイホームを持つために、二人で頑張って、それなりの頭金を貯めたところまでは良かったけれど、住宅ローンを組む時に、その頭金を全額入れるのか、一部だけ入れるのかでモメるそうです。
全額入れたい派は、当初の目的は頭金に使うためだから、全額入れるのが当たり前。頭金を入れれば入れるほど借入額も少なるので、メリットは大きいと考えています。
一部入れたい派は、最近の金利を考慮すると、住宅ローンの利子はそれほど高くないので、無理して全額入れるよりは、突然の支出などのために残しておいた方が安心だという考え方です。
どちらも、それぞれ一理あります。
また頭金問題の背景には、二人で貯めたという意識が強いので、「あなたが勝手に頭金の使い道を決めないで」という思いが入ってしまい、こじれることがあります。
そのほか、住宅ローンに関しては、返済年数を長めにして毎月の返済額を少なめにするか、少々無理しても年数を短くするかといった問題や、固定金利にするか変動金利にするかでモメる場合も多いそうです。